②上の宮, 八雲の神

 

 上の宮大明神

創造・万物の神

宗像神社になる以前に祀られていた四柱の神さま。

 

   創造造化神
  天御中天主命 あめのみなかぬしのみこと

 

   高天原から最初に降臨された神
  饒速日命 にぎはやひのみこと

 

   萱葺きで家屋を護る草木の神
  神鹿屋野姫命 かやぬひめのみこと

 

   人の行く道筋をお示しになる神
  天道姫命 あめのみちひめのみこと

 

 

 

 八雲の神々

悪疫祓いの神

須佐之男命は牛頭天王 ごずてんのう ともいい、京都の八坂神社では祇園さん、天王さんと呼ばれ悪疫払いの信仰があります。後に大黒様は大国主命と結びついたとされています。 

 

  須佐之男命 すさのおのみこと
  大国主命 おおくにぬしのみこと
  奇稲田姫命 くしいなだひめのみこと
  手撫乳命 てなづちのみこと
  足撫乳命 あしなづちのみこと

 

 

 

  天照大神の弟 須佐之男命は、高天原で暴れてばかりで皆を困らせていました。そのため高天原から追い出され、出雲の国に降りられたのです。

 

 しばらく歩くと、夫婦が娘を前に泣いていました。須佐之男命が尋ねると

 

 「私は足撫乳命 あしなづちのみこと、妻は手撫乳命 てなづちのみこと、娘を櫛名田姫 くしなだひめ と申します。

 私共には八人の娘がいましたが、近くに住む八岐の大蛇という大蛇が毎年やってきて娘を一人ずつ食べ、今はもうこの娘だけです。また今年も大蛇がやってくる頃なので、こうして別れを惜しんでいるのです。」と悲しそうに話します。

 

「その大蛇の体は一つですが、八つの頭に八つの尾、真っ赤な目、大きさは八つの山と八つの谷ほどあり、体にはこけと檜、杉の木が生えています。」

 須佐之男命は「よし、私が大蛇を退治しよう。強い酒を造ってほしい。そして垣根を巡らし、八つの門を作り、酒を八つの門の前に置くのだ。」


 さらに「私は須佐之男命。高天原から降りてきたところです。娘を私にくださらないか。」と言い、立派な方と知った足撫乳命は、結婚を許しました。
 須佐之男命は、娘が大蛇に見つからないよう櫛に姿を変えて自分の髪にさしました。夫婦はお酒と垣根を作り、準備をととのえて三人はじっと待ちました。

 
 しばらくしてあたりは不気味な気配が漂い、空が赤く染まり、大蛇が姿を現しました。大蛇は酒の匂いに誘われて八つの門に頭を入れ、ぐいぐいとお酒を飲んで眠り込んでしまったのです。すかさず須佐之男命は剣で八つの首を切り落とし、さらに胴と尾を切り捨てました。このとき尾から立派な剣がでてきたのです。これが草薙の剣で、天照大神にさしあげたのでした。

  
 八岐の大蛇を退治した須佐之男命は、櫛名田姫を元の姿に戻し、出雲に平和がもどりました。二人は約束通り結婚し、御殿を建てます。そのとき白い清らかな雲が立ち上り、須佐之男命は歌を口ずさみました。

 

   八雲立つ 出雲八重垣 妻ごみに  八重垣つくる その八重垣を

 

 その後、お二方はたくさんの神を産み、その中に大国主命 おおくにぬしのみこと がいらっしゃいます。

 

 

 

 因幡の国にたいへん美しい八上姫 やかみひめ がいるという話を聞き、大勢の神々はお嫁さんにしようと出かけました。そのとき、神々は荷物を大国主命に全部持たせたのです。

 大国主命はたくさんの荷物を大きな袋につめて肩に掛け、ゆっくり着いていきました。

 

 先を行く神々が海岸にでると、毛をむしり取られ肌が赤くなったウサギが、うずくまっています。神々は笑いながらウサギに言いました。
 「海の水を浴びて、丘の上で風にあたって寝ていれば治るぞ。」


 ウサギは言われたとおりにすると、前よりも痛みがひどくなりました。泣いているところに大国主命が通りかかり、やさしく訳を聞きました。ウサギの仲間と楽しく暮らしていると突然、洪水が押し寄せました。そして一匹だけ波にさらわれ、やっとのことで隠岐島にたどりついたのです。

 

 仲間のところへ帰ろうと、海にいたワニザメに
 「あなたの仲間とウサギの仲間とどちらが多いか比べっこしよう。仲間を集めて、この島から岬まで並んでごらん。その上を渡りながら数えてあげるよ。」
 島から岬までワニザメの橋ができ、ウサギは数えながら渡っていきます。岬に近づくと嬉しくなり、つい本当のことを言ってしまいました。
 「私は、岬に帰りたかっただけさ。」

 

 それを聞いた最後のワニザメは、ウサギを捕まえ、毛をむしり取ったのです。そこへ神様達がやってきて、言われた通りにすると、前よりひどくなってしまったのでした。大国主命は気の毒に思い、
 「ワニザメをだましたので、神様達は反省させようとしたのでしょう。これからは、うそをついてはいけませんよ。体を川の真水でよく洗いなさい。そして、がまの穂にくるまっているとすぐに治りますよ。」


 しばらくするとウサギの体に、元の白い毛が生えてきました。ウサギは大国主命に言ったのです。
 「八上姫は、大国主命様を選ぶでしょう。」
 ウサギの言った通り、八上姫は大国主命と結婚し、出雲の国で人々に慕われたのです。

  

  

 ※この絵本七五三の時にお子さんに授ける、『全国神社保育団体連合会』の発行のものです。